この記事について

先日、インスタグラムで海外のユーザーからフォローされたため、フォローバックをしたところ、DMが送られてきた。

そして、「Instagram Online Recognition Award(インスタグラムオンライン認知賞)」なるものに当選したと伝えられた。 (賞の良い和訳が思い浮かばなかったが、「オンライン上でよく知られましたで賞」的なものかと)

この賞の当選者はわずか24人。

そして、賞金は100万米ドルなのだという。

最近ついてなかったので、これは天からの恵みなのだろうかと、若干の期待が混み上げたが、そんなうまい話があるわけありませんね。

これは、よくあるオンライン詐欺です。

この詐欺のアカウントに掲載されていたプロフィール写真などをGoogleの画像検索にかけたところ、なんと全く違う名前の写真であることが分かりました。

無断で写真を利用して、詐欺行為を行っていたのですね。

という事で、この記事では、この詐欺とのやり取りの一部始終を紹介いたします。

なんとか詐欺に歩み寄って、詐欺であることを認めて欲しかったのですが、逃げられてしまったのが悔やまれます…。

実録

事のはじまりは「mrs.norbergflorence」と名乗るアカウントからのフォローでした。

私はそのアカウントをフォローバックしたのですが、直後にDMが届きました。

なんと、その方は、インスタグラムの本社の方だと言います。

インスタグラム本社のフローレンス・ノーバーグと申します。 そして、Instagram Social Network Inc. の最高経営責任者 (C.E.O) から、あなたに連絡する権限が与えられました。 インスタグラムのCEOから今日あなたに連絡するように私が割り当てられた理由を知っていますか?

ちょっと何を言っているか分からないですね。


なお、顔写真は、実在する全く別の方ですので、プライバシーのためにボカしています。

この方によると、私は100万米ドルを受け取る事ができるのだとか。

進行中のオンライン レコグニション アワード プロモで、幸運にも合計 1,000,000.00 ドル (100 万米ドル) を獲得した 24 人の幸運な当選者の中からあなたが選ばれたことをお知らせします。 これは、世界中の Instagram ソーシャル ネットワークの使用を促進するためのプロモーション戦略として設定されました。

私のインスタアカウントは、たいして投稿もしていないのですが…。何が評価されたのでしょうか。

たとえ詐欺であっても、どうして私のアカウントが選ばれたのか、気になるところです。

おめでとう!!!。 当選資金は本物であり、100% 正当であることを知っておいてください。 したがって、心配する必要はありません。

先方は、Google翻訳を使ってメッセージを送信しているのですが、自動翻訳丸出しの日本語に加え、まだ何も質問をしていない段階で、自身の正当性を主張するあたりに早くも怪しさを感じます。


何故か自身のIDカードを提示してきました。

しかし、見てわかるように、明らかに合成写真です。

合成でなかったとしても、スタジオで撮影したかのような写真です。

社員証をわざわざこんなにきれいに撮影する事があるのでしょうか。

大企業ならやるのでしょうか…?



怪しかったので、社員証を手に持って写真を撮ってくれないか、お願いしてみました。

すると、少し怒ってしまいました。

サー、あなたは私が身分証明書を送るべきだと言ったのに、なぜあなたは私にそれを握るように頼むのですか、もしあなたがこの賞を受賞した資金に興味がないなら、私に知らせてください.


私を信じて、私を信頼するだけで神聖なことは何もないと言いました。 今すぐ賞金を受け取ることを約束します。

怒って文章が乱暴になってきたのか、Google翻訳の日本語が分かりにくくなってきました。

そのため、英語でメッセージを送ってくださいとお願いしました。


上のスクリーンショットを見て頂くと分かりますが、お金を受け取るには次の個人情報を送る必要があるとのことです。

1• First Name: 2• Last Name: 3• Country: 4• Residential Address: 5• Age: 6• Occupation: 7• Mobile Number: 8• Email Address:

悪用されるのが怖かったので、送りませんでしたが、もし送信していたら、入金までの具体的な話に進んだのでしょうか…。気になります。

ちなみに、これらの個人情報は、とある部署に送られるそうです。

You're advice to accurately fill-in the form from 1 to 8 and send it directly to me here in a presentable manner, so that i will forward it to the department to enable them proceed with the claims of your winnings

1から8まで正確に記入し、見栄えのよい形で私に直接送ってください。私が担当部署に転送し、賞金の請求を進めることができます。

私が「どの部署に送られるのですか?」と尋ねると、「Our department(私たちの部署)」と返ってきました。

私の英語が拙いせいもあるのか、だんだん会話がかみ合わなくなってきています。

「部署名を教えてほしい」と聞くと、次の回答が返ってきました。


上のスクリーンショットの冒頭部分が回答です。

部署名ではなく、本社の住所が送られてきました。

Our Headquarters is located at JPMorgan Chase Building, 560 Mission St, San Francisco, CA and this is the number to reach the staff in our DEPARTMENT : +16506003145
本社はJPMorgan Chase Building, 560 Mission St, San Francisco, CAにあり、我々の部署に連絡する電話番号は +16506003145 です。

続けて、さらに、安全性を主張してきました。

So everything is safe . You don't have to worry about anything at all. Once you fill in this details. Its going to be Used exclusively for the registration of your winning funds as the sole beneficiary owner of this winning funds in your name . As the certified owner. So you have to fill in this details now. So we can proceed without any delays.
だから、すべてが安全です。何も心配する必要はありません。この詳細を記入したら、認定された所有者として、それは当選資金獲得のためのみに利用されます。ですので、今すぐ入力する必要があります。そうすれば遅延なく手続きが行えます。

送られてくる英語もおかしな文章ですね。

ここで、試しに「Googleハングアウトか何かで会話できないか」と聞いてみました。

すると、さらに安全性を訴えてきました。 「Listen!!!(聞いて!!!)」と、「!」が3つもついています。

Listen!!! I want you to know that Instagram values your right to privacy! Your information is 100% secured and will be used exclusively for the purpose of this award only.
聞いてください!!! インスタグラムがプライバシーの権利を大切にしていることを知ってほしい! あなたの情報は100%保護され、この賞の目的のみに使用されます。

ちなみにハングアウトは仕事の範囲外とのことで、できないと言われました。

Only this award is my job so I don't do hangout please.

そしてついに、入力する気がないならキャンセルすると言われてしまいました…。

If you don't want to write down your information I will inform our department and they will cancel your winnings funds now.
もし、あなたの情報を書かないのであれば、私たちの部署に報告し、彼らは今すぐあなたの賞金ファンドをキャンセルすることになります。

さらに、インスタグラムのCEOであるAdam Mosserisさんのサインが書かれた当選者宛の手紙の写真も送られてきました。

Here’s a direct letter from the CEO Mr ADAM MOSSERI in regards to a total recognition that you are one of our winners and you fully do have the right 100 % to claim your winning funds and you will successfully receive your winning funds today without any delays. Thanks .
これは、あなたが当選者の一人であり、当選金を100%請求する権利を持っていて、遅延なく本日当選金を受け取れるという事に関する、CEOのADAM MOSSERI氏からの手紙です。ありがとうございます。



さらに、「当選したのは本当だから信用して」といった内容のメモも送られてきました。


「詐欺ではないと証明してほしい」という私の意図をくみ取って、少し協力的になってくれた感じがしました。

こちらもフレンドリーな話し方で、先ほどのIDカードを今持っているか、聞いてみました。持っていれば、それを写真に撮って送ってもらおうと思ったからです。

Oh! Thank you for the message :) Do you have the ID card right now??
ありがとうございます! IDカードは今持っていますか?

すると…またしてもあの写真が送られてきました。


何故かたくなにこの写真だけを送ってくるのでしょうか…。何とかこのIDカードの別の写真を見てみたい気持ちでいっぱいです。

改めてお礼を伝え、IDカードを今持っていて、そしてオフィスにいるか、聞いてみました。

Thanks! So you have the card right now at your office, right??
ありがとう!では、そのカードは今オフィスで持ってますか?

しかし、話題を変えられてしまい、再びキャンセルするよ、と言われてしまいます。

Sir . With all due respect I've showed you my ID card . If you don't want to receive your winning funds. You tell me . If you want to cancel it. You also tell me as well too
サー。失礼ながら、私はあなたに私のIDカードを示しました。もし、当選金を受け取りたくないのであれば. あなたは私に言う。あなたはそれをキャンセルしたい場合。あなたはまた、あまりにも同様に私に教えてください

このままではキャンセルされてしまうと思い、賞金には興味があること、個人情報なので慎重になっていることを伝えてみました。

I AM interested in this award! But as you kindly understand, I need to be carefully for the usage of personal data concerning the these day's security issues happening around the world. Could you agree with me??
この賞にはとても興味があります。しかし、昨今の世界中で起こっているセキュリティ問題を考えると、個人情報の取り扱いには注意が必要です。ご賛同いただけますか?

これには同意して頂けたのですが、すぐさま情報を入力しろと催促されます。

Yes It's safe So fill your details now
分かりました 安全です だから詳細を今すぐ入力して

もうそろそろダメだな、と感じながらも…あれこれ質問を続けました。

「責任をもって仕事をしているなら、まず信用させてください」的な事も言ってしまいました。

ですが、向こうも諦めモードです。

Give this a trial and see everything for your self. Fill in this details and if you don't receive your winning funds then don't trust me

ちょっと分かりにくかったのですが、「詳細を入力して、それで当選金を受け取れなければ、私を信用しなくていいよ」的な文章です。

それに対して「無責任じゃないですか?」的な返事をしたら、以下の言葉を残し、アカウントが非公開もしくは削除されてしまいました。

Make things easy for your self. And fill in this details. Once you do so . Everything is done and settled
そんなに気を揉まないで、詳細を入力して。それだけで解決するんだから。

的な意味でしょうか。




長いやりとりでしたが、以上で会話は終了です。

これ、実際に個人情報を渡したら、何に使われるのでしょうか…。

ちなみに、冒頭に記載した通り、この方のアカウントに掲載されている画像をGoogleで画像検索したところ、全く別人であるドイツの方がヒットしました。

一応、その方にも報告しておきたいと思います。

あまり騙される人はいないと思いますが、お気をつけて!


執筆者情報
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ウェブ&マーケティングディレクター

清水公太

Web、映像、雑誌などの制作現場で、企画、デザイン、撮影、コーディング、マーケティング、業務改善などを経験してきました。 守備範囲は広めの雑食性のディレクターです。